| ネジ式車高調整機能付きサスペンション ネジ式車高調整式サスペンションをこの項ではより詳しく解説して行きたいと思う このネジ式は現在欧州車用の車高調キットの中では最もベーシックなものであり Aragostaだけでなく、ビルシュタイン・オーリンズ・SACHS・KW・ARC等殆どのメーカーが この形状を採用しているが、実はこの「ネジ式車高調」には更に大きく分けて 三種類の形状が設定されている。 その形状による違いについてもわかりやすく解説して行きたい |
このショックアブソーバーの動きの基礎を理解された方は次に進んで頂きたい
まずここで賢明な方は、ネジ式車高調とこのショックアブソーバーの動きを考えると
ある矛盾が出てくる事が解って頂けると思う
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車高を下げる時の矛盾 ネジ式車高調はあくまでもスプリングのロアシートの位置を上下する事で車高の 上げ下げを行う機能を持つが、実際にはショックアブソーバーの位置自体はそれで 変化するが、スプリングと言うのは予め長さが決まっているものである すなわちスプリングの長さ以上にロアシートを下げていくと???? そうスプリングが遊んでしまう(バネにテンションが掛かっていない状態)当然これでは リバンプ側ストロークに対する動的エネルギーが生じない為、ショックアボソーバーが 自力で伸びようとする力を失ってしまう つまりコーナリングのインリフト時にタイヤを路面に押し付ける力が少なくなる為 路面に対する追従性が悪くなるばかりか、スプリングが伸びようとする力を規制出来 ない為、ポョポョとしただらしない動きになってしまい操縦安定性が著しく低下する もちろんスプリングが遊んでいると通常の車検すら通らない と言う事は、ネジ式車高調の場合は通常設計段階でのスプリングの長さと、ショックア ブソーバーの長さが決まっているものであり、車高自体は上げ下げ出来ても本来の 機能パーツとしての役割が果たせなくなってしまう |
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車高を上げる時の矛盾 逆に上げる時にも矛盾がある。 この話を読まれている方の中で、過去に車高調を 購入したものの、いざ着けてみると車高が低すぎて(劣化によって下がってしまって) 次に車高を上げようと思ってロアシートを上げてもなかなか車高が上がらない・・・ カタログには調整幅40-50mmと幅広く書いてあり、落ちる方には下がるが上がる方 には上がらない?????なぜ?といった経験の持ち主が多いはず。 この症状はビルシュタイン・オーリンズ・KW・SHACS等の輸入モノのネジ式車高調キ ットに見られる典型的なパターンである。その時このパターンに嵌ってしまった人は同 じ過ちを繰り返さぬ為にもう一度この仕組みを理解して欲しい。 法令上・そしてサスペンションとしての機能を考えた場合にはスプリングは常にテンショ ンが掛かっている状態である事が基本である。 と言う事は左図の内、常に左側の状態でなければならないと言う事ですよね? この左側の状態で車高が自分の希望より低いと言った場合にロアシートを上げていく事 で右側の様に車高は上がっていくはずであるが、これはロアシートの位置が上がるだけ で、下げる時の様にショックアブソーバーが動く訳ではありません つまり左側の状態からロアシートを上げてもスプリング自体にテンションが掛かって どんどんスプリングが縮んでいくだけの状態になります もちろん全く車高が上がらない訳ではありません。1Gで車体が静止状態でそれぞれ四 輪のサスペンションに掛る車重配分は同じですから、スプリングにテンションをかければ スプリング本体が持つ反力で車重を押し返そうとしまうので、スプリングの強さ、スプリン グが押し返す力の分だけ車高は上がります。下げる場合と違ってあくまでもショックアブ ソーバーの長さではなく、スプリング本来の反力を利用して車高を上げてしまう結果、 非常にゴツゴツとした乗り心地になってしまいます。 スプリングと言うのは縮めて行けば行くほど反力が生まれる特性を持っています 本来であれば、スプリングの最初の柔らかい部分である程度の路面の衝撃を緩和して いるものですが、この柔らかい部分をつぶしてしまう事で、衝撃が直接ボディに伝わっ てしまうというのが大きな原因です 左のイメージがスプリングの動きを表したものです スプリングは跳ねかえろうとする力があるのがイメージ出来ますか? これがゴツゴツの原因です |
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ここまで書いてもうお分かりですね?通常のネジ式車高調と呼ばれているものは 結局のところ、車高の上げ下げ自体の車高調キットを利用した物理的な調整幅と、 実際に車高の上下幅には大きな隔たりがあるだけでなく、走行上の本来の機能的な 役割をスポイルしてしまうデメリットがあるという事なのです究極を言えば、このネジ 式車高調はスプリング自体が遊ばない範囲且つテンションを掛け過ぎない範囲でしか 実際には車高の調整すら出来ないと言う事なのです さらに言えばそのメーカーが想定した調整範囲以外はサスペンションの機能を果たさ ないと言う事になります 基本的に一本のサスペンションユニットあたり、ショックアブソーバー1点スプリング1 点の構造になっている車高調は輸入・国産問わず同じ事が言えますので、貴方の今 装着している車高調がこれに該当するかどうかを観察してみてください カタログ上の調整幅=実際の車高の調整幅ではありません 実際の機能上のダウン幅+-微調整であればこの形状で十分ですが、任意で車高を触 りたい人には物足りない仕様となってしまいますね。 |
ここまで書けば、ネジ式車高調の仕組みと、その実際の動きを理解して頂けると思いますが
「じゃあネジ式車高調って車高調じゃないですよね?」「ネジ式車高調のメリットって薄い」と思われる方も
多いのではないでしょうか?
まぁそうそう早とちりするものではありません。
これらの問題を解決しつつネジ式車高調のメリットを最大限発揮しているメーカーもありますのでご安心ください
次に、このネジ式車高調の問題を解決したネジ式車高調について解説します
次の二枚の写真を見比べて下さい

| ヘルパースプリング付きネジ式車高調 どちらもネジ式車高調キットで同じBMW MINI用です。 各画像右側の方はリア用で左右同じですが、左側は良く見ると少し形状 が違うのがお分かりでしょうか? 左側はスプリングがメインスプリングが一本右側はスプリングが二本組 み合わせてあります。先程までで解説していたのが、左側のネジ式車高 調キットです。 このネジ式車高調のデメリット部分を改善したモノが右側の車高調キット と考えて下さい 右側の改善された車高調キットをヘルパースプリング付き(二次スプリン グ付き)ネジ式車高調とここでは呼びます |
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左画像はネジ式車高調の仕組みの項で解説した通常のモデルにヘルパ ースプリングを入れる仕組みを書いたものです 先程説明したようにある一定以上ロアシートを下げたらスプリング が遊んでしまいます スプリングを遊ばせずに済む範囲内でロアシート位置を調整出来る様 にすればデメリットの部分は改善出来ますから、このメインスプリングを 遊ばなくしてやるのがヘルパースプリングです ヘルパースプリングは通常のメインになっているスプリングよりも遙かに 柔らかいスプリングを使います 1G(リフトから降ろした静止状態)で完全に密着しますが、リフトアップす るとヘルパースプリング自体も伸びますので、メインスプリング+ヘルパ ースプリングの全長分まではスプリングが遊ばなくなります サスペンションのセッティングの一つの方法でこのヘルパースプリングを 入れる事も可能ですので、ヘルパースプリングと一言で言ってもバネレー トも様々です ヘルパースプリング自体の伸び切った全長が50mm-60mm程度あると 言っても実質完全に線間密着(押しつぶした状態)した状態で20-30mm ほどあるので間の30mm程度がスプリングを遊ばさずに車高調整出来る 範囲となる と言う事で、最初のダンパー自体の全長を自分が望む車高の落ち幅を 想定して作ってしまえば、その車高+-15mmトータル30mmほどの 車高調整幅を手に入れる事が出来ると言う訳である |
※ヘルパースプリング導入時のショックアブソーバーとスプリングの動き
わかりやすい様にヘルパースプリングは赤色線で表示しています

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ヘルパースプリング メインスプリングとヘルパースプリングの二種類を組み合わせて、こういった構造にして やる事で、実際に車高調としての、車高の調整幅を持たせてやる事が可能です ヘルパースプリング付き車高調キットの仕組みがご理解頂けたところで、更にヘルパー スプリングに焦点を当ててみましょう |
実はヘルパースプリングにはバネを遊ばさないというだけでなく、もう一つの大きな役割がある
それは、車高を落とした場合にはサスペンションの動きに規制が出る為、ショックアブソーバーを動かせる範囲
というのが限られてくる
つまりノーマルよりも車高を落とした分、最大限サスペンションを縮ませる事が出来るマージンが少なくなると言う事であり
残りのマージンが少なくなる分、ノーマルよりもスプリングのレートを上げずにいると、簡単に「これ以上動きません」
という所までサスペンションが縮み切ってしまうのだ

フェンダークリアランスや、ショックアブソーバー・スプリングのストロークの範囲・ロアアームなど
のサスペンションユニットの可動範囲等には制約がある
車高を落とす=縮側のストローク(サスペンションの可動範囲)はノーマル車高に比べると少なくなってしまう
故に短いストロークの中で車重や荷重を支えなければいけないのでスプリングのレートを上げなければ
ならなくなってしまうので結果的には乗り心地が硬くなってしまう
こう言った場合にヘルパースプリング・テンダースプリング(アシストスプリング)を用いる訳であるが
これはスプリングに二次特性(二つの異なるバネレート特性)を持たせる、すなわちスプリングの
車重と荷重を支える第一のスプリングと衝撃を吸収させる第二の柔らかいスプリングを組み合わせると言う事である
通常一本の直巻スプリングでは基本的に一定のバネレートを発揮させるのが主である
つまり、10kg/mmというレートのスプリングがあれば完全にフリーな状態から、荷重を掛けて行けば
1mm縮めるのに10kgづつの力が必要になってくるから、20mm縮めるのに200kgの力を掛けてやれば良い
逆に言いかえれば、20mm縮んだ状態であれば、スプリングには200kgの反力(押し返そうとする力)が発生している
このコーナーの前半でスプリングの動きについて解説したが、スプリングは本来縮めれば縮めるほど硬くなる特性を
持っていると言う事を解説したのを思いだして欲しい。
スプリングにはまず車重が掛かっていて、その段階で既に反力を生んでいる
フロント軸重(車検証を見れば貴方の愛車の軸重が記載されている)が仮に400kgあるとしたら?
フロント片側のサスペンションには1G状態でも200kgの力が常に掛かっている
と言う事はメインのスプリングレートが10kg/mmのサスペンションを組めば単純に考えるとリフトアップの状態で
サスペンションが一番伸び切った状態から、1Gの車重だけを掛けてやった場合20mmサスペンションは縮む
ここから、どこまでも力を掛けて行けば1mm/10kgの力で縮んで行くか?というと、そうではない
「バネがこれ以上縮まりません」というポイントに向かうにつれ、どんどん踏ん張ろうとしてしまう
その域に来ると10kg/mmのスプリングが12kg/mm 14kg/mm 16kg/mm相当の反力を生む
この状態で一般の路面を走った場合は、路面からの衝撃をもろに受けとめてしまう
じゃぁ最初の段階で縮んで丁度いい辺りに来るようにスプリングを柔らかく設定しておけばOK?となるが
こうなってくると先程のサスペンションの可動範囲の制限内でサスペンションを動かしてやる事が出来なくなる
柔らかすぎてもダメ!硬すぎてもダメ!となれば答えは一つ
柔らかい部分と硬い部分を持たせる事
この為にヘルパースプリングよりも更にスプリングとしての役割を持たせた
テンダースプリング(アシストスプリング)というものがある
※もちろんテンダースプリング自体は乗り心地の側面から作られたものではなくよりモータースポーツ
よりの観点から必要になってきているものである
ヘルパースプリングやテンダースプリングによる実際のサスペンションセッティングについては
別項のサスペンションセッティングマニュアルにて解説する